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透過光で見せるフレスコ画実験

〜フレスコ・ストラッポの応用〜
 
 

ストラッポとは、本来壁画であるフレスコ画を、持ち運びが出来るようにするために、壁の表面の層だけを剥がして他の支持体に移し替える技法です。

壁画修復の応用として生み出された方法ですが、フレスコ画の応用技法の中でも最もややこしく、難しい制作過程を要するもので、一言では語りつくせません。
なので動画でその様子をご覧ください

                  


“ストラッポ”なんて、かるーい名前ですが、繊細かつ大胆で、莫大な手間と時間がかかっています。
漆喰壁表面の、顔料が石灰の成分の中に取り込まれて結晶化している層のみが、べらっと綺麗に剥ぎ取られる瞬間は、あまりにも見事で、感動的です!



古くからある技法ですが、これを応用した新たな見せ方、可能性を考えてみました。


通常、剥がした壁画層は、麻布や綿布に貼りつけることが多いのですが、今回はこれを透明な支持体に添付することにしました。
そうすることによって
フレスコ画の顔料層のみが壁から独立&自立したような画面効果にならないかという実験です。


 

ストラッポ前


ストラッポ後

※金色の背景の鮮明度が上がったのは、アクリルで補彩したためです。
(やはり雲母を含んだゴールドの顔料は、綺麗にストラッポされませんでした。) 


ストラッポ後の絵を、透明のアクリル板に添付しました。        
                
また、それがはっきりと分かるように自然光を後ろから透過させるような形で展示してみます。 


(2010.7 個展会場にて撮影)
 
(ガラス張りのギャラリーだったので、外からストラッポの裏側もご覧いただけるようにしました)

 
 
こちらは一般のご家庭の天窓に設置させていただいた際の施工事例になります。
天窓なので、より強い光が透過して、家の電気を消すと教会のステンドガラスのようになりました。

 

 
透け透けの一風変わったフレスコ・ストラッポ

さらに応用すれば、窓ガラスに直接や、照明等への施工も考えられます。
 
建築空間へのフレスコ画の新たな可能性を発見しました。